🤖 AIの使いどころ

AIを使った同人ゲームは売れにくいのか。どこに使うと売上が落ち、どこなら落ちないのか。DLsiteの「AI一部利用」の作品 808本と、別の売り場で売られている「AI生成」のゲーム 1,299本を、AIを使っていない作品 34,624本と比べました。

この記事の販売本数だけは 2026年10月5日に取り直した値です(ほかのページは8月中旬の値)。

×0.99背景にAI
×0.47紹介画像・パッケージにAI
×0.32声にAI
×0.30全部AI(AI生成)

売れやすさは、AIを使っていない作品を×1.00としたときの倍率です。発売時期・作品形式・価格・サークルの実績をそろえています。

👀AIは「見える所」に使うと売れにくい

「AI一部利用」の作品の説明文から、AIを使った場所を読み取って比べました。背景やUI・素材に使った作品は、使っていない作品とほとんど変わりません。差が大きいのは、買う前に目や耳に入る場所です。紹介画像・パッケージに使った作品は×0.47、声に使った作品は×0.32でした。

背景×0.99
UI・ロゴ・素材×0.99
BGM・効果音×0.90
キャラ・CG×0.85
プログラム×0.51
紹介画像・パッケージ×0.47
声×0.32

バーの長さは×1.20を端にしています。キャラ・CG と BGM・効果音は、使っていない作品との差がはっきりしませんでした。声は25本、紹介画像・パッケージは70本と少なく、倍率には幅があります。プログラムも低く出ていますが、プログラムは買い手から見えないので、AIのせいではなく作り手の違い(趣味で作る人が多いなど)が出ていると見ています。

メインビジュアルでも同じ

2025年以降の「AI一部利用」の作品のうち、メインビジュアルが画像判定で「AIらしい」と出た作品は、真ん中の販売本数が14本。そうでない作品は112本でした。

🏷️「AI一部利用」の表記だけでは、売上は落ちない

AI一部利用の作品は全体では売れにくく見えます(条件をそろえて×0.69)。ただ、実績のあるサークルどうしで比べると、AIを使っていない作品と同じくらい売れています。同じサークルが出したAI一部利用の作品と使っていない作品を比べても、2025年以降は×0.94でほぼ差がありません。表記を隠す理由は、数字の上では見当たりません。

AI不使用AI一部利用
実績のあるサークル1,265.5本 / 4,672作品1,284.0本 / 224作品
実績のないサークル115.0本 / 6,470作品44.5本 / 582作品

数字は真ん中の販売本数。実績のあるサークルは、その作品より前に1,000本以上売れた作品を出していたサークルです。

🏪全部AIで作ると、売り場ごと小さくなる

絵などを全面的にAIで作った「AI生成」の作品は、DLsiteでは通常の売り場とは別の売り場で売られています。2024年以降の新作で比べると、AI生成の売り場の販売本数を合わせても、通常の売り場の約0.5%しかありません。同じくらい売れた作品どうしでも、ほしいもの登録の付き方は約半分でした。買った人が評価を付ける割合は大きく変わらない(100本あたり14.6件と17.5件)ので、作品の出来より先に、見て回る人が少ないことが大きいと考えられます。

AI不使用AI一部利用AI生成
真ん中の販売本数370.0本152.5本29.0本
1,000本以上売れた割合34.1%24.6%3.3%
10本未満の割合8%17%29%
真ん中の価格770.0円660.0円550.0円
実績のあるサークルの割合42%28%7%

2022年12月〜2026年8月15日に発売された有料作品。実績のあるサークルが出しても、AI生成の作品は真ん中で242.5本でした(AI不使用は1,265.5本)。

それでも売れたAI生成作品

2024年以降にAI生成で1,000本を超えたのは18作品。半分(50%)はすでに1,000本売れた作品を持つサークルで、89%がRPG・シミュレーション・アクションでした。声あり44%、動画・Live2Dあり39%、真ん中の価格は1,210.0円。100本未満の作品(声あり19%、真ん中の価格550.0円)とは作り込みが違います。絵の手間をAIで省いた分を、ゲームの中身に回した作品が売れています。

📉「AI一部利用が売れなくなった」は見かけの話

2023〜24年に出たAI一部利用の作品は、真ん中の販売本数が407.5本で、AIを使っていない作品と並んでいました。2025年以降は82.0本に下がっています。ただ、この間に作り手の顔ぶれが変わりました。全年齢の作品が17%から27%に増え、実績のあるサークルは38%から23%に減っています。2025年以降のAI一部利用の13%は、5本以上を出した量産型のサークルの作品でした。

そのまま比べると×0.35ですが、作品形式・価格・全年齢かどうかをそろえると×0.73、サークルの実績もそろえると×0.84まで縮みます。四半期ごとに見ても、急に落ちた時期はありません。「AI一部利用の表記が年々嫌われている」形跡は見当たりませんでした。

🔍「隠れAI」は、機械でも見た目では見抜けない

表記がないのにAIを使っている作品がどれだけあるかを、メインビジュアルの画像で調べました。AI生成の売り場の画像1,297枚と、画像生成AIが出回る前(2021年まで)の作品の画像21,350枚で判定の仕組みを作ると、この2つはよく見分けられました。

ところが、今どきの手描きの人気作も「AIらしい」と判定されます。判定の点は、AIが出回る前の2019年から2022年にかけても上がり続けていました。絵柄そのものが年々変わっていて、それを「AIらしさ」と区別できないためです。「この絵はAIっぽい」という見た目だけの判断は当てになりません。

数えられるのは上限だけです。表記なしでメインビジュアルがAI生成の作品は、多く見積もっても年に50〜90本(表記なしの作品の2〜4%)。実際は絵柄の変化の分だけ少なくなります。このサイトでは特定の作品名は出しません。

🪜AI生成で先に出しても、通常の売り場の出だしは良くならない

AI生成の売り場から始めて、通常の売り場に移ったサークルは23ありました。移った先での1作目は、真ん中の販売本数が120.0本。最初から通常の売り場で始めた新人の1作目(327.0本)を下回りました。

サークルの数が23と少ないので、言えるのは「助けになった形跡はない」までです。

📝この記事のデータについて